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国際フィールドワーク レポート

2023 国際フィールドワーク レポート

2023年度国際フィールドワーク(オーストラリア・メルボルン)

西野亮太(国際経営学科 准教授)

メルボルン市街フリンダーズ・ストリート駅前にて(写真提供 西野亮太)メルボルン市街フリンダーズ・ストリート駅前にて(写真提供 西野亮太)

今回のオーストラリアへの国際フィールドワーク (以下FW)は、2018年度に次いで2度目の実施となりました。参加した学生は12人(2年生5人、3年生7人)で、私と五十畑浩平教授が引率し、オーストラリアのメルボルンに向かいました。

現地での研修に先立って、後期の授業の初回ではオーストラリアやメルボルンについて紹介しました。その後は自由研究と英会話の2本立てで進行しました。自由研究の趣旨は「学生の自主性・問いを立てる能力・協調性を伸ばすことを目的とし、小グループ単位でオーストラリアに関するトピックについて調べ、発表と質疑応答を行うこと」でした。学生たちはワーキング・ホリデー、教育などのテーマを選択して取り組みました。英会話では日常生活で直面しそうな問題を解決するスキットをグループで作成し、実演しました。こうした活動を通じて連帯感を醸成することも事前準備の一環でした。

前回同様、現地のプログラムはDOA社に、渡航の準備はJTB社にお任せしました。2月24日出発の夜行便で出発し、翌朝早くにメルボルン空港に到着しました。さっそくバスで市内の研修会場に向かい、異文化理解と対応に関する研修を受講して、各自で設定したゴールについて発表しました。その後、学生たちはホームステイ先へ向かいました。ホームステイは単なる宿泊の場ではなく、現地の家庭で生活しながら、さまざまな学びを得る場でもあります。日常暮らし慣れた環境を離れて日本との違いに気づくこと、英語を用いてホストや他の留学生と意思疎通を図ることは、草の根レベルの国際交流の第一歩です。

翌日はシティ・ウォーク・ラリーを実施しました。これは小グループで市内中心部を歩きながら問題を解くことが目的でした。中には、現地の人に質問しなければ解けない問題も含まれていました。初対面の人に英語で話しかけることへのハードルは高かったと思いますが、どのグループも積極的に取り組んだ結果、無事に終了することができました。この背景に学生の意欲の高さがあったことはもちろん、メルボルンの治安の良さや、寛容で物事を前向きにとらえる市民が多いことにも助けられました。

メルボルン市街の夜景(写真提供 経営学部学生)メルボルン市街の夜景(写真提供 経営学部学生)

メルボルンはヴィクトリア州の州都で、郊外を含め人口520万人ほどのオーストラリア第2の都市です。現在では、商業、貿易、金融、文化・芸術の中心地としてシドニーと肩を並べる地位にあり、テニスの全豪オープン、F1グランプリ等の国際的イベントの開催地としても世界的知名度があります。街並みは賑わいがありながらも穏やかです。ヤラ川に接した市街地の、格子状に区画整備された通りには商業や行政施設が立ち並び、ヴィクトリア王朝時代以降の建築様式を取り入れた建物も見られます。19世紀のイギリス人の入植開始以降、発展は停滞していましたが、ゴールドラッシュによって急成長を遂げました。今も残る壮麗な建物や広い道路からは、入植者が抱いていた将来への期待を垣間見ることができます。第二次世界大戦以降は移民政策が進んだことにより、現在では世界の多くの地域から来た人々の姿を見かけます。過去と現在が交錯する独特の雰囲気を、学生たちは存分に味わったことと思います。

3日目には、名門校であるthe University of Melbourne (メルボルン大学)に足を運び、3人の学生ボランティアに案内してもらいました。私たちの訪問は新年度のオリエンテーションと重なり、新入生を含め多くの学生と教職員の姿を目にする機会に恵まれました。その後、日本とオーストラリアの大学における勉強と就職活動の相違点について話し合いました。特に盛り上がったテーマは、「講義のスタイル」と「学生自身が人生計画の中で大学をどのように位置付けているか」でした。

4日目はメルボルン東部にあるKew High School(キュー・ハイ・スクール)公立中高一貫校を訪問し、2つの日本語の授業に参加しました。日本の中学1年生にあたる7年生の授業では、基本的な挨拶や自己紹介を交わし、高校3年生にあたる12年生の授業では、大学入学資格認定試験の模試を一緒に解いて、日本語による交流を行いました。生徒たちは自分の話す日本語が通じることの楽しさと自信を得たようで、これからの日本語習得への良い刺激になったと思われます。本学学生にとっても、生徒の日本語学習に貢献できたことと日本とオーストラリアの学校教育の違いを観察できたことは、大きな収穫となったことでしょう。

5日目にはSalvation Army(サルヴェイション・アーミー)という慈善事業団体が運営するリサイクル・ショップにて、商品の仕分けや接客といった職務体験を行いました。日本のリサイクル・ショップ同様に中古品や不要品を販売していますが、英語圏においては慈善事業の理念のもとで経営されており、収益は事業に還元されます。店長にSalvation Army で働き始めた経緯をうかがったところ、「慈善事業という共通の目的を持つ人々と働きたかった」とおっしゃっていました。現地での体験を通じ、私企業や行政団体とは異なる理念に基づいた職場に触れられたことは学生たちにとって貴重な体験になったと思われます。

Market Lane Coffeeのバリスタによるコーヒー抽出の実演と試飲会 (写真提供 西野亮太)Market Lane Coffeeのバリスタによる
コーヒー抽出の実演と試飲会
(写真提供 西野亮太)

6日目は、メルボルン屈指のコーヒー豆焙煎・卸売会社、Market Lane Coffee(マーケット・レーン・コーヒー)への企業訪問を行いました。コーヒー豆の焙煎を専門とする社員から、豆の仕入れ・焙煎の技術・オーストラリアと日本のコーヒー文化の違い・働き方の違いについて説明していただきました。今回のFWの参加者の中には、カフェでアルバイトしている学生がいたこともあり、この企業訪問への関心は高かったように感じます。質疑応答では、学生たちから多くの質問が出て、活気に満ちた訪問となりました。

毎日の研修訪問の後にはメルボルン市内の研修会場に戻り、オーストラリアと日本の相違点について話し合い、考察を深めていきました。FW後半になると、学生たちは積極的に自分の考えを述べたり、他の学生の発言にコメントをしたりするようになりました。学生たちが短期間で大きな成長を遂げる姿は、引率教員にとても喜ばしいものでした。非日常の環境に身を置いたことで、これを機に自身の潜在能力を伸ばし、苦手を克服したいという意識が高まったのでしょう。

週末は各自の自由行動とし、メルボルンとその近郊の海辺や観光地を訪問しました。最終日には、早朝メルボルン市内で集合し、空港に向かいました。ホストと学生が別れる場面は、感慨深い光景でした。初めのうちは生活様式の違いに戸惑う学生もいたようですが、最終日にはホストと学生たちが文字通り「ファミリー」のように親しくなっていた姿が見られました。今回知り合えた人々との関係が長く続くことを切に願います。

帰国後、学生たちはFWで得た知見をレポート課題にまとめました。提出されたレポートからは、他の後期の課題と比べ、各自が観察したことをもとにテーマと問いを設定し、資料を参照したうえで考察を深める能力の成長が見てとれました。

今後はこのFWで得た経験を糧として国際理解を深め、オーストラリアについてもいっそう学び、日本社会の将来について考えて行動してほしいと考えます。オーストラリアは活気にあふれた国です。過去30年間で多岐にわたる改革で著しい成長を遂げました。その一方、多くの問題を抱えています。具体的には、米国や中国との外交、移民・難民政策、経済形態の多様化、環境政策(特に脱炭素化、旱魃や山火事)、物価高騰、ジェンダー格差、過去に迫害を受け、現代においてもさまざまな面で不利な状況に置かれている先住民アボリジナルとの和解などです。中でも外交と環境政策は、日本も関わる問題です。日・豪ともに米国、アジア太平洋諸国との外交は大きな課題となっています。さらに、日本はオーストラリアから化石燃料など多くの天然資源を長年輸入しています。これは、両国が天然資源の貿易と消費に依存し続けていることを示しています。

多くの参加者にとって、今回のFWが初めての海外旅行でもありました。日本を離れたことにより、多数派の特権を享受する側から、外国人というマイノリティの側になり、多くの制約、不安感、もどかしさといったものを肌で実感できたことでしょう。この経験をきっかけに、日本国内で進行中の国際化にも関心を持ってもらいたいと思います。例えば、今後いっそう流動化する世界における日本の姿をイメージするうえで、オーストラリアの移民、教育、産業、行政、労働政策と現場から多くのことが学べるでしょう。今回の成果を踏まえ、次年度以降のFWも、将来国際的に活躍できる学生を育成するプログラムとして洗練するよう努めてまいります。

学生の声

ホストファミリーとの生活が不安だと思うけど、自分から明るく笑顔で、拙い英語でもいいからたくさん話しかけてみよう!意外と伝わるし、聞き取れる。分からなかったら何度でも聞こう。優しく答えてくれるよ。

一緒に行く仲間も頼りにして、たくさんの楽しい思い出を作ろう!!一生の思い出になる!!

2023年度国際フィールドワーク(台湾)研修を実施しました

村松恵子(国際経営学科 教授)

2023年8月17日から23日までの6泊7日の日程で、台湾において国際フィールドワークを実施しました。2019年の年末から世界中に猛威を振るった新型コロナウイルス感染拡大の影響により、経営学部では2020年度から2022年度まで、国際フィールドワークを実施することができませんでしたので、今回は久々の実施でした。その影響もあり、今回の参加者は女子学生7名という、これまでの台湾フィールドワークと比べて非常に少ない数でした。

経営学部の台湾フィールドワークは現地の学生との直接交流を主要な目的としています。今回、台北では名城大学との交流校である真理大学の学生2名が協力してくれ、また台中では同じく交流校である国立台中科技大学の応用日本語学部の学生14名が協力してくれました。具体的には、台北では真理大学の2名の学生が名城大学の7名に対して、台北の歴史遺産の参観や、バスやMRT(地下鉄)での移動、さらに生活面においても、常にサポートしてくれました。また台中においても、国立台中科技大学の14名の学生が、企業訪問やその他の移動、生活面においても常に名城大学の学生7名をサポートしてくれました。それぞれ3日間ずつ滞在の短い時間ではありましたが、こちらの参加学生が少なかった分、日本人学生と台湾人学生の直接接触を密に実施することができ、お互いを理解し合うという深い交流を実現することができました。

異文化地域の相互理解の原点は、人間同士の直接接触にあると考えています。これに勝る方法はありません。今回の交流を通じて、名城大学の学生の中から、もっと台湾を理解したい、あるいは中国語を勉強したいという熱意を持つ学生が出てくると信じています。また、台湾人の学生についても、もっと日本を理解したい、さらに日本語を磨きたいという学生が出てくるに違いないと思っています。

このフィールドワークは、普段からの名城大学経営学部教員と真理大学および国立台中科技大学の教員同士の交流があることにより実現しています。今後も我々教員は手を抜くことなく、学生の異文化理解、異文化交流に力を尽くしていく必要があると考えています。

真理大学にて①真理大学にて①

真理大学にて②真理大学にて②

台中科技大にて①台中科技大にて①

2019 国際フィールドワーク レポート

国際フィールドワーク(アメリカ)実施報告

東田 明(国際経営学科 教授)
桑島 薫(国際経営学科 准教授)

経営学部では2019年9月1日から9月8日にかけて「国際フィールドワーク(アメリカ)」の現地実習を実施しました。フィールドワークの目的は二つあります。ひとつは、アメリカと日本に拠点を持つ企業の訪問や商業施設の店舗を見学することを通じて、国際経営の実践を観察すること。二つ目は現地の大学を訪問し、アメリカ人学生との相互理解を図ることを通じて、本学の学生の語学力への関心を深め、国際的感覚を養うことです。

前期15週の事前学習を終えた2、3年生の計23名が参加し、アメリカで三番目に大きい街、イリノイ州のシカゴを訪れました。今回、海外へ行くのが初めてという学生も少なくありませんでした。

五大湖の一つ、ミシガン湖沿いに広がるシカゴは交易や穀物取引で栄え、1870年の大火で街が焼けた後に様々なビル群が建てられた建築で有名な街です。東欧、アジア、アフリカ等、様々な背景をもつ移民が作るエスニック・コミュニティがあることも魅力の一つです。一流の大学や美術館、博物館など教育・文化面でも充実しているシカゴは中西部の要として重要な役割を果たしています。

主な内容

9/1(日)名古屋発、デトロイト経由でシカゴ着。
9/2(月)シカゴ建築財団主催のボートツアーにて建築を通したシカゴの歴史を学び、ビル群を見学。シカゴ美術館にて現代美術や印象派の作品を鑑賞。ミレニアムパーク散策。
9/3(火)ジェトロシカゴ訪問。シカゴ大学訪問。キャンパスツアー、インターナショナルハウス訪問。大学院生との夕食。
9/4(水)DePaul大学訪問。キャンパスツアー、日本語を学ぶ学生との交流。リグレー球場見学。ジョン・ハンコック・タワーの360Chicagoからの夜景見学。
9/5(木)郊外にあるCDH Accounting Firmという会計事務所訪問。会社の概要、海外で働く日本人としての経験や学生へのアドバイスをいただき、学生からインターンシップやアメリカ企業についての質問があった。ヘミングウェイの生家見学、日本にもゆかりのある建築家フランク・ロイド・ライトの博物館見学。
9/6(金)マクドナルド本社訪問。本社のマクドナルドで昼食。午後、観葉植物や花を栽培、販売するLEIDER訪問。中華街レストランにて振り返り。
9/7(土)シカゴ発、デトロイト経由で名古屋帰着。


ジェトロ・シカゴにて研修

ジェトロ(JETRO, Japan External Trade Organization)は、世界55カ国にある74事務所を拠点に、海外と日本とのビジネスを連携し、企業誘致や投資の支援をとおして双方の経済発展に貢献する半官半民の団体です。私たちは北米に7カ所ある事務所の一つ、ジェトロ・シカゴを訪問しました。イリノイ、インディアナ、ミシガン、オハイオなど、12の州を管轄しています。街が展望できる33階のオフィスで、シカゴや米国中西部の経済状況や動向について詳しい説明を聞きました。

シカゴのダウンタウンを中心とした「小シカゴ」は人口250万人、日本関連の企業は約30社、一方、郊外も含めたエリアは「大シカゴ」と呼ばれ、人口約1000万人で約300社あるそうです。小シカゴは金融や政府関係が主で、大シカゴにはメーカーが多く、日本人学校やクリニック、食料品店なども揃い、日本人コミュニティを支えています。また、日本とのビジネス慣習のちがいやそのためにどのようなことに気をつけているかなど、経験に基づいた話は具体的で、非常に学生たちも興味を持ったようです。

現地の大学訪問では、学生たちにとっても広いキャンパスや非常に整ったインフラ、自由な雰囲気などが印象的だったようです。研究者を多く輩出しているシカゴ大学はダウンタウンから電車で20分ほど南へ下ったハイドパークにあります。これまで約90名のノーベル賞受賞者を輩出してきた歴史ある大学です。一方、ダウンタウンの北に15分ほど電車で行った住宅街のなかにあるDePaul大学は、学部生が多く、システマチックな図書館やジム、コンピューター室が整備され、学生生活を充実させる環境が整っています。

残念ながら当初予定していたDePaul大学での日本語授業への参加はスケジュールの都合でかないませんでしたが、代わりに、昼食をはさんだ懇親会では日本語を学ぶアメリカ人学生5人を囲み、日本語と英語を織り交ぜながら日本の文化やアメリカの学生生活について会話がはずみました。また、今夏、名城大学のサマースクールに参加したアメリカ人学生がその経験をスライドにまとめ、丁寧なプレゼンテーションをしてくれました。アメリカ人学生の視点をとおした名古屋を再発見でき、とても有意義な時間でした。訪れた日は新学期の始まりでもあり、新入生歓迎のためのデスクやクラブの勧誘など、学生の活発な様子が目につきました。


デュポール大学での交流


デュポール大学でプレゼンテーション

会計事務所のCDHは、シカゴの中心街から車で30分ほどいったItascaという郊外にあります。主に現地日本法人を対象とした監査法人で、マネジャーはじめ多くの日本人が働いています。今回は3名の方に自身の経歴やアメリカで働く際に重要なことなどを体験を通じて話していただきました。なかには社会人になってから英語の勉強を始め、退社後留学した経験をお持ちの方もおり、英語の勉強や何かに新たにチャレンジするのに遅すぎることはないことを、学生たちは実感したのではないでしょうか。また、3名とも大変エネルギッシュであることが伝わってきました。そのエネルギッシュさに圧倒された学生もいたようですが,それくらいの気持ちがないと海外で自分の考えを伝えて仕事をするというのは大変だということがわかる訪問でした。

大学の講義では、経営の仕組みについて学習することが多く、一人の個人が同僚や上司とどのように、何を重視してコミュニケーションをとるのかという部分についてはあまり考える機会がありませんが、今回の訪問がそうしたことを考えるきっかけになったと思います。


郊外の企業訪問

花や観葉食物などを栽培、販売するLEIDERというグリーンファームへの訪問も興味深いものでした。我々を迎え入れていただいた方が90歳を超える日本人女性でした。英語もあまりできないままシカゴに来た彼女が、この会社でどのように受け入れられてきたのかについて楽しくお話しいただきました。異国の地では言語が話せないと困るのは事実ですが、言語レベルが不十分であったとしても、相手を思う気持ちや誠実さは相手に伝わるものなのだと、改めて思いました。

訪問時はちょうど冬のクリスマスシーズンに向けてポインセチアを育てている時期で、会社の保有する広大な農場のほとんどをポインセチアが占めていました。顧客の需要に応じた植物の大きさや発送時期を管理できるよう、ビニールハウスの温度設定や、植物の背丈が確認できる目印の設置などが行われていました。生育を促すことに影響する散水も、3つの方法を組み合わせて実施されており、散水のホース内にチップが埋め込まれており、散水のタイミングや量をコンピュータで管理できるようになっていました。こうした工夫は、工場の生産管理と共通するものが多く、学生にとっても授業で学習していることが、実際の現場でどのように工夫して取り入れられているかについて考えるきっかけになったと思います。

マクドナルド本社の訪問では、本社横の店舗のマネジャーから話を聞く機会がありました。彼は、10代の頃からマクドナルドで働いており、キャリアを重ね、本社隣接の店舗のマネジャーになったそうです。ここに経験を重視するアメリカでのキャリア形成の一端が見えたように思いました。また、オーダーはタッチパネルを用いて客が自分で注文する形を採用しており、高度に自動化されていました。メニューも2ヶ月に1回は新しいメニューが導入されるなど、日本のマクドナルドとは異なる取り組みも見られました。注文後、商品がテーブルに届けられるスピードも早く、一昔前のアメリカのファーストフード店に見られた無愛想な客対応という印象はありません。学生は日本の仕組みと随分異なることに驚いている様子でした。アメリカのマクドナルドについては、事前学習でホームページをもとに日本のマクドナルドとの違いを調べましたが、実際に見たり話を聞いたりすると、想像とは違うインパクトがあったのではないでしょうか。

数カ所の企業訪問では日本語で講義を受けましたが、大概の学生たちは大人しく、話しを聞いて終わってしまいました。質問や意見を述べた何人かの学生はとても緊張したと思いますが、その積み重ねが今後の成長につながると思います。アメリカ社会では、その場にいる人々が意見を述べたり質問をするという関わり方が、そこでの関心の度合いとして評価されます。希望を言えばもっともっと前に出て欲しいと思います。ただ、これは日本の教育制度や慣習的なところと深く関わっていますので、一朝一夕に変えられるものではありません。反応が薄かったり、おとなしい学生はほとんど学べていないのではないかと実は少しがっかりしたのですが、帰国後、現地実習のレポートを読んだり、報告を聞くと、重要なポイントをしっかり理解していたり、目のつけどころに驚きました。今後はより主体的な関わりを体得していける学習を実践しつつ、交流型・体験型のフィールドワークを充実させていきたいと思います。

2018 国際フィールドワーク レポート

オーストラリア・メルボルンでの国際フィールワーク

五十畑浩平 (経営学科 准教授)

2019年2月23日から3月4日にわたり、オーストラリア・メルボルンにおいて国際フィールドワークの実習を行いました。学生は2年生8名、3年生4名の計12名が参加し、桑島先生と私のふたりが引率しました。

オーストラリア第二の都市メルボルンは、世界一暮らしやすい街として有名です。若者人口も多く、考えも柔軟で、様々な民族的バックボーンをもった多様性あふれる街です。南半球であるため現地の気候はまだ夏真っ盛り。気温は高いときで37度を超えるなど連日暑い日々が続きました。

今回は国際フィールドワークでは初めて、現地でグローバル人材育成プログラムを多数手がけてきた実績のあるDOAオーストラリアというエージェントの全面的なサポートを受けて実施されました。今回初のこの試みには、これまで世界各地で培ってきた経営学部のフィールドワークの経験やノウハウと、オーストラリア現地で多く研修プログラムを実施したDOA社の経験やノウハウを融合することによって、より質の高いプログラムを提供するねらいがあります。

また、この一環として、今回は12人それぞれが現地の家庭にホームステイすることになりました。これも、英語力の上達はもとより、より現地の人々と接してもらい、現地の実態をより深く知ってもらうことにねらいがあります。

途中香港を経由し、私たちは2月24日(日)早朝7時すぎメルボルンに到着。そのまま、バスで研修の拠点となったDOA社のオフィスに移動しました。そこで、現地での生活の注意点と研修スケジュールについてのオリエンテーションと、主要な場所や交通機関の使い方などについてシティーガイドを受けました。午後は、同オフィスにてデスク研修を行い、このフィールドワーク実習での目標を各自設定するとともに、設定した目標を各々発表しあいました。

25日(月)には、学生たちが3グループに分かれ、メルボルンの街中を舞台にシティーウォークを行いました。このプログラムは、さまざまなメルボルンの街に関するクイズを、与えられたヒントをもとに現地の人々に直接尋ねながら解いていくゲーム形式の研修です。この研修により、現地の人々とコミュニケーションする力などが育めました。また、教員はあえて引率せずに学生同士で街中を散策し、メルボルンの街について深く学ぶというまさにリアルな「フィールドワーク」が実現でき、学生の主体性や学生同士のチームワークも向上できたと考えられます。こうした企画が今回実現できたのも、ひとつには、メルボルンの治安がそれだけよいこと、またメルボルンの人々がおおらかであること、それにもまして、現地を知り尽くしたエージェントが全面的にサポートしてくれたことがあげられます。

26日(火)にはメルボルン大学を訪問し、3名の現地学生と交流を行いました。まずは現地学生がそれぞれ日本人学生の3グループを担当し、キャンパス内を案内してくれるとともに、グループごとにランチをとりながら交流を図りました。午後は学内の教室でグループディスカッションを行い、さらに深い交流を行うことができました。

27日(水)には、郊外にあるムニーポンズウエスト小学校を訪問しました。そこでは、日本語が全員必修となっており、実際のクラスのなかで、日本語の授業のティーチングアシスタントの就業体験を行いました。

28日(木)、オーストラリア全土でリサイクル事業などを展開している慈善団体サルベーション・アーミーのメルボルン支店で、接客や仕分け、品出しなどの職場体験を行いました。午前と午後とで持ち場を変えるなど、さまざまな役割を体験するなかで、オーストラリアでの働き方などについて日本のそれとも比較しながら考える絶好の機会となりました。

研修最終日である3月1日(金)は、メルボルン郊外のダンデノンにあるヤクルト・オーストラリアを訪問しました。まず工場内を見学したのち、日本人駐在員の方と質疑応答を行いました。

工場見学後、DOAのオフィスに戻った学生たちは、これまでの総まとめを行うため最後のデスク研修に臨みました。これまでのふりかえりを行う場の空気は、初日のそれと全く変わったものになっていました。普段の教室では見られない自ら率先して発表を行おうとする姿や、人の発表についても質問やコメントを自然とできる様子が見受けられました。例外なく一人ひとりが、この短期間で大きく成長していることがこの瞬間だけを切り取ってもわかるかと思います。

さて、学生たちのホームステイはどうなったのでしょうか。最初は戸惑いも多かったようですが、おおかたの学生はホームステイ先の「家族」となれたようです。もちろん、最後までうまく意思疎通ができなかった学生もなかにはいましたが、こうした学生も含め全員がホームステイをしてよかったと回答してくれました。

メルボルン滞在もわずかとなった週末。ホームステイ先の家族と一緒に海岸に行ったり、学生同士で観光スポットを巡るなど、各学生とも思いおもいに自由に時間を過ごしました。

メルボルンで行われた国際フィールドワークの実習やホームステイ体験を通し、英語力の上達はもとより、異文化の理解、異文化への適応、多様なものの考え方、グローバルな発想の仕方など、今後グローバルに活躍する人材にとって重要な要素を短期間で吸収することができたことでしょう。また、こうした成長体験を踏まえ、自分自身の将来のキャリアについても多くの収穫が得られたように思えます。

メルボルンのランドマーク・
フリンダースストリート駅の前での集合写真

シティーウォーク:ヒントをたよりに答えを探しに街に出ていく学生たち

メルボルン大学にて現地の大学生と交流

現地の小学校でのティーチングアシスタント体験

リサイクルショップでの職業体験

ヤクルトオーストラリアへの企業訪問

2018年度国際FW(台湾)研修

引率者代表 村松恵子(経営学部 教授)

2018年8月21日から31日まで、国際FWを台湾で実施しました。台湾でのFWは今回が4回目で、参加学生数は2年生と3年生の合計で28名で(うち男子学生12名、女子学生16名)、引率者は経営学部教員3名で実施しました。

経営学部の台湾FWは現地の学生との直接交流を主要な目的としています。今回、台北では交流校である真理大学の応用日本語学部の学生8名が協力してくれ、また台中では同じく交流校である国立台中科技大学の応用日本語学部の学生20名が協力してくれました。台北では総統府参観、故宮博物院参観、九份見学や、その他、バスやMRTでの移動、さらに生活面においても、常に真理大学の学生がサポートしてくれた。また台中においても、国立台中科技大学の学生が、企業訪問や、グループによる現地実習、その他バスでの移動、生活面においても常にサポートしてくれました。それぞれ5日間ずつの短い時間ではありましたが、朝宿舎を出発してから夜宿舎に戻るまで、日本人学生と台湾人学生が直接接触しながら交流する中で、お互いを深く理解し合うということが実現できたと思います。

異文化地域の相互理解の原点は人間同士の直接接触による交流だと考えます。これに勝る方法はありません。今回のFW実施後、FWに参加した経営学部の学生の中から、もっと中国語を勉強したいという熱意を持った学生が多数出てきています。また、今回我々のサポートをしてくれた台湾人の学生の中から、もっと日本を理解したい、さらに日本語を磨きたいという学生が、その後留学生として名城大学経営学部に来ました。

これらの交流は、名城大学経営学部教員と台湾真理大学および国立台中科技大学の教員の直接折衝があって実現したものです。今後も我々教員は手を抜くことなく、学生の異文化理解に対してもっともっと尽力していく必要があると考えています。


国立台中科技大学の歓迎会。名城大の学生が台中科技大の学生と一緒に台湾原住民の踊りを踊る


台中科技大の黎立仁先生の講義を受ける名城大の学生達


名城大の学生と台中科技大の学生のグループ討論会


台湾企業訪問。MAXXIS本社前で集合写真


廣興紙寮で紙漉き体験


日月潭で集合写真

2017 国際フィールドワーク レポート

「仕事の現場」を訪ねて~国際フィールドワーク(アメリカ・ミシガン州)

桑島薫
(国際経営学科准教授)

8月18日~26日、学生7名と引率教員2名の計9名でアメリカのミシガン州にあるアンナーバーとデトロイトを中心に、フィールドワークを実施しました。アメリカでの実施は2015年以来です。

アンナーバーは、1817年設立の名門ミシガン大学がある人口11万人の美しい街。今回の訪問先は、アンナーバーのローカルビジネス、バトルクリークにある日系グローバル企業、デトロイトのコミュニティ発展を目指すNPOなど、さまざまな規模や内容の「仕事の現場」です。

初日、ミシガン大学のキャンパスの一角にあるワイザーホールへ集合。そこから今回のプログラムは始まりました。日本とアメリカの関係はビジネスだけではありません。戦後から今日まで日米の架け橋となってきたミシガン大学日本研究センターで、文化や教育の分野における人的交流の歴史を学びました。今年70周年を迎える同センターは日米の様々な大学や機関、草の根の団体とネットワークを持っています。そのうちの一つDHDC(Detroit Hispanic Development Corporation) は、デトロイトに住むメキシコなどからの移民とその子どもたちの生活を包括的に支援する非営利団体です。経営学部とは組織を学ぶ学部であるという信念に基づき、訪問先にはビジネス以外の社会的な組織づくりの現場も加えました。

また、プログラム以外でも収穫がありました。日食を見たこと、チャーターバスの中で聞いた運転手自身の起業経験やビジネス展望、たまたま立ち寄った大型スーパーMeijer、アメリカ在住の日本人のご自宅訪問と住宅街での散策、学生達が喜んでくれればと運転手がサービスしてくれたリンカーンのリムジンでのお迎えなど、たくさんの楽しい経験ができました。

ただ、現場での質疑応答になると・・・・学生たちは頭ではわかっていても固まってしまい、準備してきた質問を絞りだせずに終わってしまったことも少なくありませんでした。積極性、質問力、社交性、好奇心、向上心・・・これらは英語以前の問題です。より一層、日ごろのゼミや授業での発言力、質問力を鍛える必要があると感じました。

準備の段階から日米の多くの関係者に大変お世話になりました。また、訪問先では、みなさん我々を歓迎してくれ、貴重な時間を割いて応対してくださいました。どうもありがとうございました。一週間ではありましたが、参加した学生にとって今後の成長につながる何かが残れば嬉しいと思います。

ミシガン大学日本研究センター講義風景ーブラッド氏の手作りマフィン付

ミシガン大学日本研究センター講義風景ー
ブラッド氏の手作りマフィン付

デンソーミシガンへの訪問

デンソーミシガンへの訪問

フォードミュージアムにて

フォードミュージアムにて

2016 国際フィールドワーク レポート

2016年 度国際フィールドワーク(台湾)を終えて

村松恵子
(国際経営学科教授)

8月16日から8月26日まで、10泊11日の行程を終え、2名の引率教員と21名の参加学生が全員揃って、台湾から帰国することができました。今回は台北、淡水、台中、台南の4都市を研修地とし、名城大学と学術交流協定を結んでいる真理大学、国立台中科技大学の協力を得て、盛りだくさんの現地での研修を実施することができました。経営学部の国際FWの大きな目的の1つに、研修先の現地学生との交流があります。

九份観光 8月19日(中央:真理大学ソラさん)

九份観光 8月19日(中央:真理大学ソラさん)

16日から20日まで、淡水市にある真理大学のゲストハウスに5日間宿泊しました。真理大学では中国語研修を2クラスに分けて実施していただきました。その他に、真理大学応用日本語学部の4名の学生の全面的協力を得て、両校の学生主体による、淡水と台北を理解するためのグループ研修を実施することができました。具体的には、経営学部の学生を4グループに分け、真理大学の学生に1グループに1名ずつ補助してもらい、各グループによる実地研修を行いました。学生たちは電子マネーカードである、「悠々卡」を購入して、台北地下鉄(MRT)やバスに乗り、台湾総統府、国立故宮博物院、中正紀念堂、西門町、龍山寺、二二八和平公園、国父紀念館、迪化街、国立台湾博物館、士林夜市、永康街などを参観しました。さらに金鉱の町であった金瓜石、台湾の大ヒット映画「非常城市」の舞台となったことで人気となった九份へ、名城大学引率教員と学生、真理大学の4名の学生で、バス旅行に出かけました。金瓜石は日本統治時代に開発された金鉱山で、日本統治時代の様子が復興再建され、当時の様子を感じることができ、また九份は宮崎駿監督の映画「千と千尋の神隠し」のモデルとなったと言われている建物があり、日本人には大人気の観光スポットです。

国立台中科技大学にて歓迎式 8月22日

国立台中科技大学にて歓迎式 8月22日

21日に台中へ移動し、21日から26日までは、国立台中科技大学に隣接するホテルに宿泊しました。台中では、国立台中科技大学の協力により、現地企業(今國光学―日本企業からのスピンオフにより起業し、現在も主に日本企業向けにOEMを行っている現地光学機器メーカー)の訪問、国立台中科技大教員である黎立仁先生による日台の経済連携に関する講義、台中港訪問などをアレンジしていただきました。この他、国立台中科技大学応用日本語学部の大学院生2名と学部生18名の全面協力を得て、台中でも、両校の学生主体による、台中に対する理解を深めるためのグループ研修を実施することができました。台中では、学生を6グループに分け、名城大学経営学部1名に対して国立台中科技大の学生1名が補助するという、直接接触による現地学生との濃い交流が実現できました。さらに日帰りで台南研修を実施し、台南サイエンスパークおよび烏山頭ダムと八田與一(日本統治時代に烏山頭ダムを建設した)記念公園を、名城大学と国立台中科技大学の参加メンバーで参観しました。

国立台中科技大学にて黎立仁先生の特別講義 8月23日

国立台中科技大学にて黎立仁先生の特別講義 8月23日

国立台中科技大学にて歓迎式 8月22日

真理大学にて歓迎式 8月16日(前列左から5人目:真理大学学長)

前期期間の15回の事前講義(台湾の歴史、経済および参観予定地の特徴など)により、名城大学経営学部の学生たちは、今回現地研修したところについて、予備知識を持って参観しています。前期に講義を受け、それを現地で現地の学生と一緒に検証する−−これにより、研修地を深く理解するだけでなく、現地学生との直接接触による交流がより深く行われました。このような国際交流を行なったことによって、経営学部の学生たちは台湾という地域および台湾の人々を直接肌で感じて理解することができ、また交流先校の学生たちも、日本および日本人を肌で感じることができたと確信しています。

2015年 国際フィールドワーク レポート

国際フィールドワーク(ドイツ、フィンランド)

橋場俊展
(経営学部)

去る2015年8月30日(日)~9月11日(金)、ドイツおよびフィンランドにおいて国際フィールドワークの実習を行った。参加総数は14名、内訳は学生12名、引率教員2名であった。以下、前半のドイツと後半のフィンランドに分け、各々の実習中に頂戴したご講演や訪問先について概要を述べることで報告とさせていただきたい。

ボン大学にてマイヤー教授、磯洋子様、ボン大学院生と

ボン大学にてマイヤー教授、磯洋子様、ボン大学院生と

ドイツでは、ボンで5泊、デュッセルドルフで2泊滞在し、この間ボン大学でマイヤー(Harald Meyer)教授および語学教授を目的としたNPOを創設された磯洋子様のお話を、またデュッセルドルフへの途上立ち寄ったESPRITアリーナではフォルトゥナ・デュッセルドルフ日本デスクご担当の瀬田元吾様のお話、デュッセルドルフではノルウェーにてフローリストとして活躍しておられる大木靖子様のお話を伺った。日本文学の奥深さ、言語習得とコミュニケーション構築の核となるもの、行動し経験を積むことの大切さ、プロフェッショナルという生き方などなど、いずれも含蓄ある内容で学生たちも大いに刺激を受けたようであった。実際これらの講演を契機に目に見えて言動が変わった学生がいたことがそれを裏付けている。これ以外にも企業訪問先のドイツトヨタにおいては同社会長の細江昌樹様はじめ複数の方にご講演いただき、ドイツ自動車市場の現状・特徴や系列金融企業や保険会社とトヨタとの関係など多くを学ぶことができた。また、ライン幼稚園の園長やデュッセルドルフ日本人学校の先生方には、園や学校についてご説明いただくと共に、夕食会にもお付き合いいただき学生たちを激励していただくことができた。ケルン大聖堂、ケーニヒスヴィンターといった観光名所を訪ねる一方で、音楽会に出向くなどドイツ滞在中にはドイツの歴史、文化に触れる機会にも恵まれた。

マキタ・フィンランド訪問後の集合写真

マキタ・フィンランド訪問後の集合写真

続いて、9月6日(日)から10日(木)までフィンランドのヘルシンキに滞在した。同地では国際ノルディックウォーキング協会公認インターナショナルコーチの資格を有する高橋直博様にアテンドしていただきながら、海上要塞スオメンリンナ、テンペリアウキオ教会、シベリウス公園といった名所を観光すると共に、ヘルシンキ大学、ラハティ中学校の見学、そしてマキタ・フィンランドへの企業訪問を行った。ヘルシンキ大学では、明治大学国際日本学部鈴木ゼミの学生たちとご一緒することになり、その後の夕食会では三大学の学生間で親睦を深めることとなった。またラハティ中学校では、訪問直前に英語の授業中プレゼンテーションを行うよう要請があり、教員共々慌てふためいたが何とか無難にこなすことができた。本フィールドワークの最終行事となったマキタ・フィンランド訪問では、電動工具メーカとして世界で圧倒的なシェアを誇る同社の競争力の背景、グローバルに活躍できる人材像などに関して巧みな話術でご説明いただき、学生たちも興味深げに聞き入っていた。

以上、駆け足でフィールドワークの行程を振り返ってきた。こうした経験を積む中で、当初怯えながら入国審査に臨んでいた学生たちは格段にたくましさを増したと思われる。

どこへ行くにもボン大学の院生や引率教員に頼り切っていた学生が、地図を頼りに、片言の英語で道を尋ねながら自分たちの力で目的地に到達した姿を目にした時、報告者はささやかな感動を覚えた。あるいは「将来はマキタのような世界で勝負している会社で活躍してみたい」、「またヨーロッパに行きたいので、余ったユーロは取っておきます」という学生たちの言葉を耳にした時、報告者は今回のフィールドワークが意味あるものであったことを確信した。集団行動ばかりではなく個人行動があっても良かった、講演者や現地の方々にもっと積極的に話しかけて欲しかった等々、課題も少なからず目についたが、少なくとも参加学生たちは、ますますグローバル化が進展する世界に向けての第一歩を踏み出してくれた。そのことに敬意を表すると共に、こうした貴重な機会を与えていただいた名城大学そして経営学部懇談会関係各位に謝意を表して報告を結びたい。

国際フィールドワーク(アメリカ)

鳥居弘志
(経営学科 教授)

2015年8月17~27日で「国際フィールドワーク(アメリカ)」実施しました。学生は2年生4人、3年生15人の計19人が参加し、大崎先生と私の2人で引率しました。

2015年度国際FW(アメリカ)

訪問先であるワシントン州シアトルはアメリカ西海岸のカナダとの国境近くに位置し、エメラルドシティと呼ばれるように海と湖に囲まれ緑が豊かな美しい街です。夏は涼しく冬は緯度の割には寒くありません。夏以外は雨が多く1年のうち8カ月は雨だと言われていまが、今年は異常気象で雨が少なく、水不足と乾燥のため大規模な山火事が発生し今も鎮火のめどが立っていません。産業面ではシアトルからボーイング、マイクロソフト、スターバックス、アマゾンといった企業が生まれており、現在も活発な起業が続く活気ある街です。

ホテル到着後、早速、ワシントン大学のキャンパス散策に出かけ、体育館、フットボールスタジアム、カヌー乗り場、図書館、講義を受けるビジネススクール校舎などを見て回りました。ホテルは、向えに大きなショッピングモールがあり、講義室までは徒歩20分ほどと便利な位置にあります。3~4人のグループで相部屋だったため少々狭かったかもしれませんが修学旅行気分で楽しんでいたようです。

3日目からの3日間は、ワシントン大学Fosterビジネススクールに於いてマイクロソフト、ボーイング、グーグルといったグローバル企業で働く実務家の方々から講義を受けました。講義は英語でしたが、通訳を付けてもらったので内容は理解できたと思います。質疑では、何人かの学生は通訳の助けをかりながらも頑張って英語で質問し、とても良い経験になったのではないでしょうか。

ボーイングの工場では、ジャンボジェットから最新の787旅客機までの製造現場を見学しました。英語でのガイドであったためどこまで理解できたかは分かりませんが、その規模の大きさには圧倒されていました。また、マイクロソフト本社ではビジターセンターに立ち寄り、展示されているパソコンや最新ソフトを体験しました。

マリナーズの本拠地セーフコフィールドでは、球場ツアーに参加し記者席、VIP席、プレスルームからグランドやベンチまで説明を受けながら見学しました。また、岩隈投手が先発したナイトゲームを観戦し、帰路、シアトルの美しい夜景を楽しみました。

他にも世界的に評価の高いワイナリーを訪問したり、高低差のある湖と海を船が往来するために作られた運河の水門で船の行き来や鮭用の水路を鮭が遡上する様子を観察したり、フェリーに乗りシアトルの街並みを海上から楽しむ等々、多くの体験・見学をしました。

学生達は自由時間に、カヌーに乗ったり、ダウンタウンに出かけ買い物やスターバックス1号店、スペースニードル等を訪れていたようです。

短い期間ではありましたが今回の経験が学生たちの視野を広げ、また学習の動機付けとなり、将来、世界で活躍するような人間に成長してくれることを期待しています。

2014年 国際フィールドワーク レポート

国際フィールドワーク(台湾)

村松恵子
(経営学部 教授)

2014年8月19日から28日まで、昨年に引き続き国際FWを台湾で実施した。台湾でのFWは今回が3回目で、過去最高の参加学生数であった(合計34名、うち男子学生12名、女子学生22名)。

2014年度国際FW

経営学部の台湾FWは現地の学生との直接交流を主要目的としている。今回、台北では交流校である真理大学の応用日本語学部の学生8名が協力してくれ、また台中では同じく交流校である国立台中科技大学の応用日本語学部の学生23名が協力してくれた。具体的には、台北では真理大学の8名の学生が名城大学の34名に対して、総統府参観、故宮博物院参観、その他、バスやMRTでの移動、さらに生活面においても、常にサポートしてくれた。また台中においても、国立台中科技大学の23名の学生が、企業訪問やその他の移動、生活面においても常に名城大学の学生34名をサポートしてくれた。それぞれ5日間ずつの短い時間ではあったが、日本人学生と台湾人学生の直接接触の中で、お互いを理解し合うという深い交流が実現した。

2014年度国際FW

異文化地域の相互理解の原点は人間の直接接触である。これに勝る方法はない。今回の交流を通じて、名城大学の学生の中から、もっと台湾を理解したい、あるいは中国語を勉強したいという熱意を持つ学生が出てくると信じている。また、台湾人の学生についても、もっと日本を理解したい、さらに日本語を磨きたいという学生が出てくるに違いない。

これらの交流は、名城大学経営学部教員と台湾真理大学および国立台中科技大学の教員の直接折衝があってこそ実現している。今後も我々教員は手を抜くことなく、学生の異文化理解に力を尽くしていく必要があると考えている。