MVAは「市場付加価値」と言われ、企業が将来にわたって、どれだけ富を稼ぐかを示す指標だ。計算式は次のようになる。


MVA=市場価値投下資本
    =(株式時価総額+負債時価)(株主資本簿価+負債簿価)

※特殊なケースを除けば負債の簿価と時価はほぼ一致するため、一般的に
は時価総額から株主資本の簿価をマイナスした差額がMVAと見なされる。


 この差額が意味するものは何か。長期的に見た場合、時価総額は理論上、企業が将来にわたって稼ぎ出すキャッシュの総額に一致する。 一方の株主資本は、企業がそれまでに投資した元手と考えることができる。つまり、MVAは、元手以上のリターンがどれだけ上げるか指し示しているわけだ。
 ここで思い出してほしい。EVAは投資を上回るリターンを上げているか、という命題を時間制限で把握したものであった。 それに対し、期限を設けず、無期限に把握したものがMVAということになる。
 つまり、将来にわたるすべてのEVAを合計し、現在価値に割り引いた額が、MVAと一致する。


 株式市況の悪化で、EVA改善期待が悪化するのは、時価総額でMVAが縮小、それに連れてEVA見通しが悪化するからだ。
 MVAが将来のEVAを映し出しているとするならば、MVAとEVAのデータから、ある会社が今後、価値の創造者となるか、あるいは破壊者となるか、将来予測を行うことも可能になる。
 現在のEVAを積み上げていき、現在価値に割り引いた額がMVAよりも小さい場合は、株式市場がMVAにプレミアムをつけており、EVAが今後、改善すると見られている。 逆に、現在EVAの総和がMVAよりも大きい場合は、EVAは今後、悪化すると市場は判断している。

        




〜 山崎製パンとフジパンのMVA〜


第1期 ヤマザキ平成 8年12月31日、フジパン平成 9年6月30日
第2期 ヤマザキ平成 9年12月31日、フジパン平成10年6月30日
第3期 ヤマザキ平成10年12月31日、フジパン平成11年6月30日
第4期 ヤマザキ平成11年12月31日、フジパン平成12年6月30日
第5期 ヤマザキ平成12年12月31日、フジパン平成13年6月30日

⇒エクセルの表


 フジパンのMVAを求めるにあたり、株式時価総額を山崎製パンのPER(Price Earnings Ratio:株価収益率)を基に算出した。 そのため山崎製パンの業績に影響を受けているという事を始めにお断りしておきたい。(第5期に限り2001年11月24日の山崎製パンのPERを使用した。)
 山崎製パンは第2期(平成9年)に株式相場の低迷により市場価値(時価総額)が大きく減少、MVAも低下している。第3期(平成10年)には「新食感宣言」シリーズの重点的な拡販がうまくいったことで市場価値が増加し、MVAも増加させた。 しかし、翌年以降MVAは減少し、第5期(平成12年)には投下資本(株主資本)を減少させたにも関わらず、それ以上に時価総額を減少させMVAはマイナスとなった。
 一方、フジパンのMVAは第3期以外はマイナスである。EVAは上昇し続けているのになぜMVAはマイナスなのだろうか。 それは、市場は今後フジパンのEVAは減少すると見ているからではないだろうか。上記に少し述べたように、MVAは将来のEVAを映し出しているのだから。
 フジパンはこれから企業価値の衰退が始まると考えられているのだろう。これを脱するためには主力商品である「本仕込み」を超える新商品を開発することが必要である。それに平行して、徹底的な環境対策の取り組み、積極的な社会活動を行うなど、企業イメージを高めていくことも必要ではないだろうかと考える。